皆さんこんにちは。今回の記事では、高校受験における英語長文問題の攻略法をお伝えします。
はじめに 入試における英語の重要性
高校受験の英語は公立高校5科目においても、私立高校3科目においても、めちゃめちゃ重要な位置にあります。これは学校にもよりますが、例えば令和2年度東京都立入試の平均点を見ると、
国語…81.1点
数学…61.1点
英語…54.7点
です。国語はまず、平均点が高い傾向にあります。そして、数学は、80-100点を取る生徒の数が著しく少ないです。というのも、数学は「正答率数パーセント」の難問があるからです。それに対して英語は、正答率が低くても十数パーセントはあります。それも一問あるかどうかというレベルです。したがって、特に東京都立入試においては英語は偏差値と得点が比例関係にあるのです。
極端なことをいえば、数学は難しすぎてできる子もできない子もあまり差がつかないこともよくあります。しかし、英語はできる生徒とできない生徒で点差がかなりついてしまうのです。
- 英語における長文読解の重要性
近年英語の問題は、「長文偏重」の傾向があります。大学入試制度改革も考えると、資料の読み取り的な英語の問題もこれから増えてくるのではないかと思います。
半面、文法問題は削減傾向にあります。(とはいえ、後で話すように、長文読解の基礎に文法理解はありますので、その意味で文法の学習はめちゃめちゃ重要だと考えています。長文読解が主要な問題となっている都道府県では、「文法なんかやっても入試で出ない(から重要ではない)という意見もあると思いますが、それは、端的に間違いです。文法を知らずに読める問題などはたかが知れているし、次の年の問題がそんな簡単な問題であるかどうかはわからないからです。)
さて、そのような英語長文ですが、いかがでしょうか。
「苦手」という生徒はかなり多いです。それも、学習が進んでいけばいくほど「苦手」という声が大きくなってきます。それは当然で、入試問題として成熟していけばいくほど、長文読解問題の形式になるからです。
長文とは何か
長文は「長い文」ということですが、より正確には、
文章 → 段落 → 文 → 文節(節と句) → 単語の「文章」や「段落」にあたるのが「長文」です。
それでは、長文読解はどのように進めていくべきでしょうか。
まずは、以下の文章を読む前に、「ご自身で」一度考えてみてください。親御さんであれば、お子さんに以下の質問をしましょう。
1.英語長文の「読み方」
2.英語長文問題の「解き方」
3.英語長文読解力を伸ばすために、どのような学習法をとっているのか
塾でしっかりやっていても、それが言葉として内面化されたうえで学習を進めている生徒はかなり少ないです。これを持っているかどうかで、長文の伸び方はかなり変わってきます。
1.長文読解の「読み方」
まず私は、「読解」というときに、「読む」と「解く」の二つに分かれる、と言っています(もちろん本来の読解という言葉の意味とは違うのでしょうが)。
長文の読み方は以下の通りです。
- 前から読む(返り読みしない)
一つ目のルールは、「前から読む」です。「当たり前では?」と言われそうですが、そうではありません。試しに、以下の英文を訳してみてください。
Do you know that every cat has a character just like each one of you?
訳してくださいね?
…
ありがとうございます。訳し始めるまで何秒かかりましたか?大体でいいです。
「ほぼノータイムで訳し始めた」という人は大丈夫です。「少しだけ時間がかかった」という人はよくありません。
「いやいや、そりゃ少しは訳すのに時間かかるよ」という声が上がるかもしれません。しかし、こう聞かれたらどうでしょう。
Do you know?
この文の意味は?
「あなたは知っていますか」ですよね。これは一瞬で訳せるはずです。
ほかにも、
I love you.
これも、一瞬で訳せます。
つまり、「前から、わかるところを訳していく」のが正解です。
「あなたは~を知っていますか」としてしまうと、~の部分を考えている間に、その部分の英文構造が取れなくなることが多いです。そういう時間のロスを防ぐためにも、「わかるところを訳していく」のです。
ただ、「わかるところ」だけを訳していくのはだめです。つまり、わかる単語だけをピックアップして読んでいくような理解はだめです。これは、英語が苦手な生徒の大半が行っている悪い読み方です。「前から、カタマリごとに」という以下のルールと合わせてご理解ください。
今「訳していく」と書きましたが、これは便宜的なもので、英文を「読む」時には、「英語を日本語に置き換えて理解する」ということはあまりしなくなります。どうしても難しい文章は頭の中で日本語に置き換える必要も出てきますが、それをしていると、確実に時間が足りなくなります。英語は英語のままで、I love youが一瞬で理解できるようなレベルで、読んでいきます。
というわけで、英語は、英語話者がそうしているように、「前から理解していく」のです。その際には、「絶え間なく訳し続けられるようなイメージ」が必要です。そこで躓いたら、それは「単語」「文法知識」のいずれかに問題があります。調べましょう。
- カタマリごとに読む
次に、「カタマリごとに読む」です。
上で言ったように、英語は「前から読む」べきです。つまり「どこから」読むかは決まっています。しかし「どこまで」いっぺんに読んでいけばいいのか。
それが「カタマリ」です。
上の例文で言えば、
Do you know / that every cat has a character / just like each one of you.
という風に、大きく三つのカタマリからなっています。
every cat has a characterは「一匹一匹の猫はある特徴を持っている」ですし、just like each one of youは「ちょうどあなた方のひとりひとりのように」ですよね。
少し難易度が高かったかもしれません。そういう人は、前から読みながらわからない単語を探しましょう。characterは「性格、特徴、文字」などの意味があります。
単語がわからなければ、長文はわかるはずがありません。そういう意味で、単語は必須です。
カタマリの代表は、SVC, SVO, 前置詞句などがあります。ただ、どの程度のカタマリを一つのものとして見られるのかは、その人の英語力によるものです。SVCやSVOなどは中学一年生から勉強している構文ですから、こういうところで「素早く訳す」ことを意識しながら学習している生徒は、3年生になってから比較的困らない学力が身についています。
2.長文の解き方
- 周辺情報の確認
まずは、周辺情報の確認をしましょう。たとえば、対話文についている「リード文」。早く読むことを考えるあまり、リード文を飛ばしている人はいませんか?難しい文章になればなるほど、リード文をきちんと読んで、内容を頭に入れる必要が出てきます。いやらしい問題として、「リード文の知識がないと問題が解けない」ということもしばしばあります。リード文を読むことにかかる時間は、まさに必要経費です。
ほかにも、注に目を通すことも大切です。注の中では、「長文の中心概念なんだけど、中学生の単語レベルを超えてしまっている」ものもたくさんあります。
注に登場する単語が設問に絡むこともたくさんあります。
あるいは、注を眺めていくと、本文の流れが推測できるという利点もあります。これはかなりおいしいです。
難関私立の問題では、注に※がついていないものもあります。そういう場合は、先に注を見ておかないと、最後まで注の存在に気が付かないこともあります。
ただし、注については、「先に単語力をつけておく」ことがより大切です。どうしても※と本文を行ったり来たりしていると、本文の内容が忘れられてしまいます。そういうマイナスをなくすためには、すでに単語を知っていればいいのです。英語が苦手な生徒は、英検3級までの知識を、英語が得意な生徒は英検準2級を目安に、網羅的に学習をしましょう。
- 設問対応
設問対応は、設問ごとにあります。この点は、今後の記事にご期待ください。
3.学習法
- 精読を心がける
「精読」とは、精確に読むことです。その時の精確さというのは、「構文理解ができているのか」です。一文を単語レベル、句のレベル、節のレベルに分解して理解はできますでしょうか。
単語はいいですよね。調べましょう。
「句」というのは、主に前置詞句だと思ってください。意味のカタマリです。形容詞的に名詞に係る形容詞句と、副詞として名詞以外に係る副詞句があります。
「節」というのは、SVのカタマリです。名詞節(that節が代表)、形容詞節(関係詞節)、副詞節(従属接続詞を用いた部分whenとかbecauseとか)。※when, because, ifには副詞節を造るのではない用法もあります。わかりますか?
このように、精読を心がけながら、しっかりと構文の理解ができている文章を「繰り返し読む」ことです。繰り返し読むときには、「わからなかったところ」「すっと読めないところ」「引っかかってしまうところ」に印をつけましょう。そこが「すっと読める」ようになるまで繰り返しよみ、必要ならば質問をしましょう。
- 視幅を広げる
「視幅」という聞きなれない言葉が登場しました。「英語速読」業界では、「視点」「視幅」「視野」の三種類があります。
視点というのは、文章を単語レベルで見ていくときのものです。I love you.をIとloveとyouの三つの点に分けるようなイメージです。当然、「視点」で読んでいくと、文章読解は遅くなります。皆さんも、このブログを視点レベルで一文字一文字見てはいませんよね。
次に「視野」です。これはあなたの目の前に広がっている光景、景色です。視野で見ている時には、実は「文字が読めません」。文字を読むためには、「視野」から「視点」「視幅」に移行しなければなりません。
つまり、視野と視点の間にあるのが「視幅」です。「意味理解を伴い最小単位」だとご理解ください。
この「視幅」は「カタマリ」と重なってくると考えています。だから、カタマリごとに前から読むことを心がけていれば、自然と視幅が広がっていきます。
おわりに
いかがだったでしょうか。この記事では、英語の長文読解の攻略法についてお話ししました。今回は、「読む」ことに重心を置いていますので、「解き方編」もこうご期待ください。
もっと突っ込んで聞きたい方や、質問がある人は、気軽にコメントしてください。
かいたく記
コメント