みなさん。こんにちは。小学生も中学生も、いくつになっても「なんとなく最初の一歩がまだ踏み出せていない気がする」という生徒もいます。いつもいつも場当たり的な学習で、自分なりの、結果に結びつくやり方が見当たらない生徒もいます。
そういう生徒には、ぜひ「スモールステップ」をお勧めします。
このブログを読めば、学習法としてのスモールステップについて知ることができます。
「いろいろと勉強の仕方を細かく聞いても、結局私は何をしたらいいのかわからない」といったようなお悩みを抱えている生徒さんや親御さんはぜひご覧ください。
スモールステップとは
スモールステップ=毎日の、超短時間の学習
まず、毎日の学習時間の単位を短く設定します。時間ではなく、1日数学の計算問題を5問、とかでも構いません。
次に、その学習を毎日行うと決めます。
最後に、一週間という単位で、その週の学習の復習をして、成果を書き出します。
こう書くと、「1日5分やったところで、来週のテストには間に合わない!」とか、「来月の英検に合格できるとは思わない」と言われることがあります。
最初にお断りすると、スモールステップは、「長期的な学習習慣をつくるための、短期的なスパンでの学習法」です。
「毎日学習ができる」(学習習慣)ということは、「1日1日学習ができる」ことの積み重ねです。「毎日」という単位は、「1日」という単位からできているのです。
繰り返しますと、スモールステップは、「学習習慣をつくる」こと、それによって「長期的な学習成果を得る」ことが目的です。
「学習習慣をつくる」ことと「目に見える学習成果をえる」ことを分けて考えることが大切です。
「成果」を目的にしまうと、「過程」そのものの意味を見出すことができなくなります。「テストで90点取る」ことを目的にすると、「89点」が色あせて見えることと同じです。
「成果」を出すために、適切な「学習法」「学習習慣」が必要で、それをつくるためのスモールステップなのです。
スモールステップの利点
スモールステップの利点は、「始めやすい」「継続しやすい」ことにあります。
「1日5分勉強しよう」という声がけはしやすいし、自分に向かっていうことも簡単です。
「1日1時間勉強しよう」という目標を立てて、「30分勉強した」としましょう。
このとき、その30分は「30分しか」できなかった、となります。
しかし、「1日5分」を目標にして、「30分」勉強したら…
そうです。目標の6倍勉強したことになります。「30分も勉強した!」のです。素晴らしいです。6倍ほめましょう。
よく聞く学習理論の一つに、「脳の作業興奮」を利用するものがあります。
脳は、作業を始めると、その行動を続けることに興奮を感じるから、はじめの一歩が何よりも大切だ、という理論です。
こういう話を聞いて、私は思ったものです。「最初の一歩はどうやって踏み出したらいいんだ」「最初の一歩を踏み出せない生徒はたくさんいる」と。
そこでこのスモールステップです。「最初」を細かく分解して、小さく始めるのです。これにより作業興奮が得られれば、5分の勉強のつもりが30分続くことにもなります。
同じだけ勉強をしても、高い目標(長い学習時間)を立てている人よりも、自分を褒めやすくなる、それによって学習習慣がつきやすくなる、これがスモールステップの利点といえます。
具体例
- 漢字・語彙の学習
小学生は、漢字の学習から始めるのがいいです。漢字の学習法については、こちらもご覧ください。
- 計算問題
小学生は、計算問題もいいですね。塾の課題として、毎日やるものを設定されていませんか。こうした課題を「本当に毎日やること」が大切です。
- 英単語の学習
中学生であれば、英単語の学習は超重要です。英単語で困っていないという人は、学習ハードルを上げましょう。英検の準2級や、2級の単語であれば、必ず知らないものが出てきます。私立受験や東京都立自校作成校の英語を解いていくのに役立ちます。
こうしたもの以外にも、例えば社会や理科がすごく苦手だというときは、一冊テキストを決めて、毎日5分の学習を続けてみてください。
スモールステップの注意点
- 基準となる時間は短く設定してよい
目標を高く設定することは、やる気がある時期にしてしまいがちです。ただし、高い目標を設定することそのものに快感を感じてしまい、その継続を難しくしてしまいます。毎日続けられる目標を立てて、日々自分を褒めてあげながら、できるときには多く学習し、成果を上げましょう。
したがって、
- 長く学習できるときはやりまくってよい
5分しか学習してはいけない、ということではありません。長くできるときは、ウェルカムです。どんどん進めましょう。
しかし、
- 明日の分まで貯金はできない
今日10分やったから明日はやりません。これは絶対にダメです。毎日のタスク、ルーティーンに、勉強することを組み込みましょう。
- 学習効果を確認する予定をいれる
これを忘れては、画竜点睛を欠く状態です。最後の一手です。
1日の学習を7日続けたら、その7日を俯瞰してみる時間を作りましょう。
この一週間でこれとこれをした、と。もちろん忘れていることがあってもかまいません。
「忘れていたこと」を思い出せただけでものすごい進歩です。
そして、後述する「スモールステップの比例的増加」を視野に入れましょう。
スモールステップを成功させるために
さて、最初に言ったように、スモールステップは、「学習習慣をつくるための学習法」です。
しかし、もちろん「学習習慣をつくる目的」は何ですか、と問うことができるわけで、より先の目的も見通せた方がよいですよね。
そこで、スモールステップを成功させるために、より長期的な目的も考えましょう。これは、スモールステップから見える将来のことです。ここでは、大きな目標、より魅力的な目標を立てることができます。
ただし、先ほど申し上げたように、大きな目標は立てることに快感を得てしまい、目標倒れになってしまいがちです。
失敗しないためには、以下のような要素が必要です。
スモールステップの比例的増加
大きな目標を立てると、それに従って最初の一歩が大きくなってしまいがちです。
しかし、これは失敗の原因でした。大きく始めてはだめなのです。
それでは、大きな目標をクリアすることはできないのかと言われればそんなことはありません。
学習習慣さえできれば、あとは少しずつ負荷を増やしていけるからです。
1日5分が普通にできるようになれば、その段階で1日10分とか20分を最小単位にしましょう。
これを見込んでの計画で大丈夫です。一か月後には、毎日30分を最低限勉強できるような自分になることを想像しましょう。これが1時間続くようになれば、かなりの時間勉強することができるようになります。
最後に
1日5分、最初はあまり魅力的に見えないかもしれません。
しかし、最初は「リハビリ期間」だと思えばいいです。
はじめから無理をしたら絶対に続きません。
日々続ける体力とマインドをつくりながら爪を研ぎ、まずは1日30分できる自分を目指して頑張りましょう。
勉強ができるようになる最強の学習法についてよく考えます。
でも、勉強をパーツにわけて、ひとつひとつ取り上げていくこと、が最強の学習法ではないように思えるのです。
どこかでわれわれは「個人として」計画を立て、実行し、評価しなければならなくなります。
学習における「自立」。これが目標の一つですよね。
そうなるためには、「毎日○○のことを考える」必要があります。自然と○○ができる人は最強で、そういう人は勉強においても成功しています。だって毎日考えているんだから。自然と、呼吸をするように○○のことを考えている。
この状態を自然とではなく、人為的に、努力によってつくりだすのがスモールステップです。
ぜひ、今日から取り入れてください。
かいたく記
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