勉強を苦手にしてしまった中学生がぐいっと学力を上げる方法――3つの「散」に注意しよう――

みなさんこんにちは。

勉強…苦手ですか?この記事を見に来てくれたひとは、勉強が苦手なひとか、勉強が苦手な人のサポートをしたいと考えている人だと思います。

巷には、「学習法」に関する記事があふれています。科目ごとの詳細な学習法はあるのですが、個々の学習法にかんする記事って、「あなた自身」と少し距離があるように感じませんか?

というのも、これだけ学習法に関する記事や情報があふれているにもかかわらず、私が毎日かかわっている限りでも、勉強が苦手になっている中学生は本当にたくさんいるからです。

この記事では、勉強を苦手にしてしまっている中学生の学習法の解明から始めます。その学習法を見ることは、とりもなおさずなぜその勉強法では結果がでないのかの理解につながります。さらに、「どのように学習をすればいいのか」の本質が見えてくるはずです。自分自身の姿を客観的に見ることが、学力向上の最短ルートになるのです。

勉強が苦手な人が行っている「勉強」の正体――チリもつもれば…――

「定期テストの2週間前だ。そろそろ勉強を始めよう」

そして

その日その日、学校の宿題をして、塾の宿題をして、ワークを進める。学校の授業を聞いて、塾の授業を聞く。

その結果テストの結果は、一つ前のテストよりも10点よかったのもあるけど、20点悪いのもあった。5科目の合計は320点。内申点(通知表の数値)には変化がなかった。

こんな結果になったことはありませんか。

勉強を苦手としてしまっている中学生は、勉強という営みが「ちりも積もれば山となる」(以下「チリツモ」)式のものであることを正しく知るべきです。

たとえば30分数学の勉強をしているとして、その内訳が連立方程式の問題10問だったとしましょう。この一問一問が「チリツモ」の「チリ」です。勉強はこうした種類の「チリ」を積み上げていく作業になります。

英語の単語一つにしても、社会の用語一つにしても、理科の計算一つにしても、すべてそれらは「チリ」のひとつです。ものすごく小さいものだ、ということです。

そして、学習結果を出すためには、「山のようなチリ」が必要です。

「チリも積もれば山となる」とは言いますが、勉強を苦手にしている人は、この「山」をつくれないような仕方で勉強をしています

なぜだかわかりますか?ちょっと考えてみてください。

なぜかというと、「忘れる」という人間の脳の重要な働きを全く考えていないからです。

人間は忘れるものですよね。だれしもそうです。この機能がなければ人間の脳はすぐにいっぱいいっぱいになって動きを止めてしまいます。だから人間は生存のために、「忘れる」という機能を持っているのです。

こんな本(岩立康夫『忘れる脳力 脳寿命を延ばすためにはどんどんわすれなさい』朝日出版)もあるくらいです。

このような脳の働きにあらがうためには、なんとかチリを集めて山にして、吹き飛ばされないように、失われないようにしなければいけないのです。

そのやり方はとても当たり前のものなのです。でも、その当たり前に向き合わずに、むやみやたらに「効率的な」と言われる学習法を求めたり、あるいは何も考えずに「今までと同じこと」をしていても結果は変わらないです。

だから、もう一歩先に進むために、今、落ち着いて自分の勉強の仕方を考え直してみましょう。

勉強はどうしても「チリツモ」式のものです。それを踏まえたうえで、あなたの勉強の仕方をもう少し深掘りします。

勉強をしても結果が出ない理由3選――3つの「散」に注意せよ――

3つの「散」は以下の通りです。

  • 科目の「散」
  • 集中力の「散」
  • 学校・塾・自宅の「散」

「散」という字は「散乱」「離散」「散り散り」などという言葉で使います。

要するに「ばらつくこと」です。チリを山にしなければいけないのに、せっかくのチリが「ばらついている」のです。これではいつまでたっても山になりません。

ひとつずつ見ていきましょう。

科目の「散」

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前回の定期テスト前にどの科目の勉強をどれくらいしたでしょうか。

満遍なく全科目勉強した人は、確かに偉いです。しかし、果たしてどれくらいの結果が出たのか。

定期テストの勉強し方についての記事でも言ったのですが、定期テストは「内申点をあげること」を目標にするものです。そうすると、すべての科目を満遍なく勉強することは、戦略としては完全にアウトです。もしそれをするのならば、時間というリソースが大量にとれることを確認したうえで、覚悟して勉強をすべきです。しかし、「勉強を苦手としている」自覚がある人は、まず少ない科目で成果をしっかりと出しましょう。

「定期テストで点数を取る感覚」を身につけて、それをほかの科目でも行うのです。

多すぎる科目の勉強を一斉にやろうとすると、科目ごとの勉強量が散ってしまいますよね。

たとえば、

曜日
科目数学英語国語社会理科数学英語
時間1111122

これが一週間の勉強時間だとして、二週間前から勉強すると、この2倍勉強できるわけです。全体としては、18時間も勉強をしています。しかし、それでも国語・社会・理科の勉強時間はそれぞれたった2時間です。2時間で満足のいく点数を取る勉強ができるでしょうか。

これで点数がとれるひとは、「すでにたくさんのチリを積み上げて山を作っている人」です。一週間同じ時間勉強をしても、すでにチリの山を持っている人は、その山にさらにチリを積んでいるのです。「同じ時間勉強している」ことは「同じ結果がだせる」ことではありませんよね。

もちろん、毎日の勉強時間を増やすのも手です。しかし、限られたリソースなのだとしたら、科目は絞るのが鉄則です。中学1年生や2年生、3年生の一学期であれば、「これは内申4や5がとれる」という感触を得ることがとても大切になります。

科目の「散」を防ぎ、科目特化の勉強をしましょう。

※とはいえ、内申が1や2になってしまう勉強は回避しなければなりません。提出物など必要なものは必ず出しましょう。

集中力の「散」

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学校の授業、塾の授業、どのような姿勢で聞いていますか?

「私は前を向いて私語をせずに先生の話を聞いている。」

そういう人は多いことでしょう。

しかし、「集中力」はどうでしょうか。

難しいですよね。

「集中力」という言葉は、わかるようでわからない言葉の代表です。具体的に指摘していきます。

塾で授業をしていると、こういう生徒に出会います。

  • すぐに手に持っているペンを見つめている
  • どこか一点を見つめている
  • 先生が書いた板書を、少し時間がたってからノートに写す
  • クラス全体に質問を投げかけたあとで、指名されると質問を聞き返す
  • 発問→指名の順番で進めているのに、指名されてからはじめて考え出す

こういう生徒です。

確かに彼らは前を向いている。イヤフォンをして音楽を聴いているわけでもない。しかし、集中はしていないのです。だから「質問を聞き逃す」のです。

これは、そういう生徒が「悪い」といっているのではないのです。今の日本における学習環境は、どうしても「受動的」な生徒を生み出してしまいがちです。

多くの生徒に一斉に授業が行われることで生徒の理解ではなく、カリキュラムの進行が優先され、その目的も、いつかくるとされている「受験」というもの。さらに、そういった「社会のせい」にするまでもなく、学校の先生やわれわれ塾講師の手腕にも問題はあります。私も日々研鑽はしているのですが、それでもやはり「聞き手次第」というのも学習の特徴です。

物事に「受動的」になってしまう姿勢は、これから社会にでたときにきっと良くない効果を発揮してしまいます。

だれしも興味のあることには能動的になれますから、そういったものを見つけられた人は、勉強以外の分野で能動的になり、活躍することができると思います。

でも、そうでない人もたくさんいるし、勉強に対して「能動的」に慣れたほうが「より良い」というのが私の感覚です。

だから、もし自分がこの二つ目の「散」、つまり集中力の「散」に当てはまっているとしてら、そのことについて、一度よく考えてみてほしいのです。学校生活で作られているのは、「あなた自身」です。自分が望む姿を思いえがいて、ぜひそうなってもらいたいと思います。

また、自宅学習における集中力の妨げとなるものとして、「スマホ」に触れないわけにはいきません。

スマホを机において勉強している人は多いし、図書館などでも目にします。勉強の傍らラインが来たらその返信をしたり。これは脳の「マルチタスク」状態を生み出しているといわれています。脳のマルチタスクは、「ながら勉強」ともいわれますよね。詳しくは、学研さんのこちらの記事をお勧めします。

学校・塾・自宅の「散」

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最後に、「学校・塾・家」の「散」です。

中学生は、主に学校・塾・自宅で勉強をしていると思います。その三つの場所での勉強は有機的につながっているでしょうか。ただ単に、それぞれの場所で別々の勉強をしていることにはなっていませんか。

例えば、塾のカリキュラムはたいてい学校の勉強の先取りになります。だから塾の内容がわかっていれば、学校の授業はわかりやすく感じるはずです。そして、学校の授業で問題を解いて、たとえばわからなかったものについては、自宅学習で解決することができます。もちろん、学校や塾で質問をすることもできますよね。塾ではさらに「類題演習」も与えてもらえるかもしれません。

こうした「相乗効果」は、「掛け算」だと思っています。

「学校」×「塾」×「自宅」

たとえば、「塾」での先取り学習をきちんと済ませて「学校」でたくさん問題を解き、「自宅」で復習をする。こうした学習サイクルを意識して計画を立てることで、学習効率は最大限に発揮されると思いませんか?

他方で、これらがバラバラになってしまうと、「足し算」的になってしまう印象です。

そして、足し算はもともとの数値が小さければ小さいほど「散」してしまいがちですよね。

まとめ――学習内容をつなぐ、紡ぐ――

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学習は、頭の中に知識の「つながり」をつくることだと考えましょう。「つながり」を「紡いでいく」ことが、最大の学習の「鍵」となります。

「学校や塾で解説を受ける」ことは、「わかる」ことでもないし「できるようになる」ことでもありません。もちろん、そうなるように解説はしますが、そうなるのはあくまで「あなた」です。わからないところは、「納得」するまで食い下がって、さらに「練習」をしましょう。そうすることで「できるようになる」感触をつかんでいってください。

それは必ずあなたの「自信」につながるし、それは「一生役立つ力」だと思いませんか。

かいたく記

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