モチベーションに頼ってはいけない

勉強をどんどん能動的にしていけば、もちろん学力は上がります。そこでどうしても「モチベーションがあればおれ・わたし・うちの子ども」は勉強するんだから、モチベーションのgetの仕方を知りたい!そう思う人は多いのではないでしょうか。

しかし、こうした目的を立てて、モチベーションという言葉を信じすぎてしまうと、受験が失敗してしまうかもしれません。このブログを読めば、モチベーションに頼ってはいけない理由がわかります。

モチベーション―動機

motivationは、motivate「動機づける」という動詞の名詞形です。

「動機」と訳されることもあります

受験に大切なのは、モチベーションです。モチベーションをあげるために、学校見学などに積極的にいきましょう。

この意見は、間違いではありません。

しかし、モチベーションが一度あがることと、モチベーションがあがったおかげで苦手科目の学習に積極的に取り組むようになることは完全に別のことです。

外的モチベーション 

この節の内容は、岩井俊憲『アドラー心理学入門』、かんき出版に基づいています。

アドラー心理学的には、人間の行動原理には大きく二種類あります。

ひとつは、外的要因に基づくもの。

もうひとつは、内的要因に基づくものです。

外的要因に基づくものとは、賞罰などを用いて人を行動へと導くものです。

賞と罰にはともに、よくない面が潜んでいます。

賞の悪い面は、賞がないと行動しなくなる点です。

「次の試験で○○点取れたらゲームを買ってあげる」と言われた子どもは、次により大きな別の賞を求めるようになります。これには終わりがありません。

罰の悪い面は、罰するひとがいるかいないかで行動が変わってしまう点です。

つまり、怒られる人がいればそうしないけれども、その理由を内面化していないため、怒られる人がいなければ、その行為をすることへの障害は存在しないわけです。

監視、がこの行動に当てはまります。監視されていれば勉強するが、監視されていなければ勉強はしない、こうなってしまう。

内的モチベーション

内発的な行動の原因が内的モチベーションです。自分自身を成長させるために、努力をするような例がこちらになります。

アドラー心理学的には、「勇気づけ」というものが、内的モチベーションを高める代表的な手法になります。

勇気づけとは、ひと言で言うと「困難を克服する活力を与えること」です。

上掲書p. 34

アドラーは、フロイトとは異なり、人間存在の原形を「社会的存在」と考えます。人間は、孤立して自分だけの欲求の充足を求めるものではなく、社会の中で生きること、社会への帰属意識によって生存する生き物だ、ということです。

こうしたアドラー的人間は、「共同体感覚」を磨いていくことで、「自己充足」することができます。

そのために、「勇気づけ」が必要となります。

勇気とは、

①リスクを引き受ける能力

②困難を克服する努力

③協力できる能力の一部

を与えてくれるものです(上掲書, p. 34)。

自分自身を勇気づけ、社会的人間としての対人関係スキルを磨いていくことが、アドラー的人間の完成といえるのかもしれません。

モチベーションに頼らない方法――モチベは「感情」である――

ただし、こうしたモチベーションという言葉は、「感情の一種」であることは間違いありません。

そして、感性に頼るということは、「一時の思い」に頼るということです。

内的モチベーションも、外的モチベーションも、「やろう!」という個人の一時の思いに基づいた行動原理であるといえます。

しかし、感情の最たる特徴は、再現性がないことではないでしょうか。

ある絵画を見て美しいと思うこと、学校の帰り道に友達と並んでみた夕日に感動すること、

これは、その条件だけを取り出して再現したとしても、その感動が再現されるような種類のものではないのではないでしょうか。

私は、感情は一時の、だからこそ大きな爆発力を秘めた素晴らしいものだと考えますが、それを受験勉強の根幹に据えることには違和感を感じます。

習慣の強さ

もう一つの行動原理が「習慣」です。

私は今朝起きて初めに布団をたたんで顔を洗います。それから歯を磨いて朝食をとります。

これはすべて私の習慣です。習慣的な行動をすることに対して、最初のエネルギーは不要です。

自然とできてしまうのです。この「習慣化」によって、受験勉強はかなり楽になります。

そのために子どもたちに言っている言葉は、「一日分でいい」です。

「一日五分でいいから○○をしよう」と言います。(こちらのブログはスモールステップについて書いています。ぜひご覧ください)

5分やった人は、「作業興奮」をえていますから、容易に10分できます。

そして、10分できたら「2倍ほめていい」と言っています。

私も、2倍やってきた生徒は2倍ほめます。特に最初は。

人間は、習慣を壊したくない動物です。

だから、この最初の習慣をうまく構築する手助けをしてあげればいいのです。

今の私の習慣は、「煙草を吸わないこと」と「ブログを毎日書くこと」です。

どちらも習慣化に成功しています。

ブログについては、どこかでいったん更新ぺースを下げて、クオリティの向上に向かいたいのですが、ともかく「毎日これをやらないと気持ち悪い」というものを一緒につくりあげてください。

これが最強の学習術です。

モチベーションが上がることそのものは悪いことではありませんが、「モチベーションはあればうれしいもの」くらいのオプション的な位置づけにすることをお勧めします。

能動的に、ボトムアップ型のAIのように、自分を常に磨き、改善しようとする。改善に「快」を感じるようにする。こうした行動が習慣化すれば、それは確実に学力アップへの第一歩を踏み出したといえます。ぜひ習慣化の手助けをしてあげてください。

かいたく記

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